GPD WIN3、GPD WIN MAX 2021、ONEXPLAYERのゲーミングUMPC三種比較レビュー

GPD WIN MAX | GPD WIN MAX2021 | GPDWIN3 | ONEXPLAYER | ガジェット | ガジェット

2021年に入ってゲーミングポータブルUMPCが一気に盛り上がってきて、うれしい反面、どれを選んで良いかわからない、という問題もあります。個々のレビューや、ベンチマークなどはあちこちで出ているのでそれ以外の「細かい使い勝手」に関する部分に注目してGPD WIN3、GPD WIN MAX、ONEXPLAYERの3モデルを比べてみました。

 

簡単な説明

GPD WIN3

ゲーミングUMPCの先駆けとなったGPD WINシリーズ3番機。GPD WIN2までは「スペックを犠牲にしてライトなゲームを遊ぶ」といった感じでしたが、GPD WIN3では(グラフィックカード搭載のゲーミングPCには及ばないものの)小さな筐体にフルスペックなCPU・グラフィック機能で、メジャータイトルも遊べるスペックになっています。
画面をスライドして移動可能、キーボードはタッチ式。

GPD WIN 3で使える/使いたいオプションやアクセサリ(随時更新

 

 

GPD WIN MAX 2021

2020年発売のモデルは10世代IntelCPUなんですが、11世代インテルCPUにアップグレードされた2021年モデルのリリースされます。他モデルに対して数字上のスペックは劣る場合があるものの「ゲーム専用機」と割り切ったスペックにはむしろ評価できる点も多く、3機種の中では一番リーズナブルでコストパフォーマンスも良い機体です。2021年モデルの発売は少し先になりそうなので今すぐ使いたい人は現行モデルも選択肢に。
クラムシェル(折り畳み式)で物理キーボード付きで、キーボード側にスティック・ボタンが点くタイプ。一番PCっぽさはあります。
※本記事では記載無い場合にはGPD WIN MAX 2021のスペックで比較しています


linkは2020年発売の無印モデルです。

GPD WIN MAX 3か月ほど使ってみたのでレビュー

ONEXPLAYER

GPDのライバルとも言えるOne-Netbook Technology社のゲーミングポータブルPCです。ゲーミングポータブルといいつサイズはギリギリまで大きく、機能・スペックとしては「全部盛り」に近いかと思います。その分コストが上がってくる感じです。
可動部は無く、モニタとスティック・ボタンを見た通りに使用する感じ、オプションで着脱式のマグネットキーボードが装着可能です。

One-Netbook ONEXPLAYERで使える/使いたいオプションやアクセサリ(随時更新

 

ゲーミングデバイスとして

それぞれのメーカが満を持して出すモデルでもあり、キーの操作感、耐久性は一定のラインを越える感じです。
GPD WIN MAXだけL1/R1のトリガーがアナログでは無いので、レースゲーム等で利用する場合には操作感が違ってきますので注意が必要です。また、GPD WIN MAXはボタンが奥まっているので、人によっては押しづらい/操作しずらいという人もいるようです。逆にGPD WIN3は小さめなのでグリップ感が若干悪く感じる事もあるようです。

GPD WIN3は筐体が小さいので「グリップ感が弱い」と感じる人もいるようです。公式から追加グリップが出ているのでそれを付けると良いかもしれません。

 

スペックに対して

販売チャンネルなどで若干変わってきますが、基本的には全てIntelの第11世代のCore-i5かi7のG7プロセッサが搭載されています(GPD WIN MAXの2020年モデルだけ第10世代のCore-i5:Core i5-1035G7)。メモリは全て16GBで、SSDの容量は512GB/1TB/2TBのNVMe内蔵SSD。
CPUスペックに関しては、ブラウジングや軽いゲームなどでは勿論十分使えるんですが、AAA級のヘビィなゲームに関しては「少しでもCPUスペックを盛りたい」という気持ちも否定できず、消費電力(バッテリーの持ち)も変わってくるので、どのモデルを選ぶかは難しいところです。最終的にはお財布との相談になるかと思います。
AAA級のゲームを定期的にやっている、少しでも良い画質で楽しみたい、という人はi7モデルで、Steamの積みゲーを消化したい/原神など(比較的)ライトなゲームをカジュアルに楽しみたい、という人はi5モデルでも良いかと思います。
本体ストレージ(SSD)に関しては本体の規格的には高速な「NVMe1.4(Gen 4.0×4)」に対応しています。しかし、GPD社のモデルは出荷時にNVMe1.3(Gen 3.0×4)のSSDが搭載されているので注意が必要です。容量的には、1TBもあれば……と思いますが、最近のAAAタイトルの容量増大には歯止めが効かない状態なので、用途によっては2TBも選択肢に入るでしょう。
最速スペックにしたい、最大容量を増やしたい、という場合には自己責任で分解交換という手もあります(交換可能なSSDは片面実装のものに限ります)。

片面実装の内蔵SSD(NVMe)一覧

 

サイズ

GPD WIN3:198×92×27 mm
GPD WIN MAX:207×145×26 mm
ONEXPLAYER:288×130×21 mm

なんといってもコンパクトなのはGPD WIN3です。だいたいNintendoのSwitch Liteと同じくらいのサイズ感です(厚みはGPD WIN3の方が結構あります)。実際Switch Liteのポーチ(大きめのもの)が使い回しできるので、その辺もメリットですね。
次に大きいのはGPD WIN MAX、実際手に取ってみると思ったよりも厚さが目立つので鞄などに入れると結構場所をとる印象です。クラムシェルなので、設置した状態のフットプリントは一番大きくなりますが、カフェや新幹線の小さなテーブルなどでも横にマウスを置いてなお余裕があるコンパクトさはあります。
縦横比が素直なので8~10インチPC・タブレットのケース類が流用できます。ポーチ・ケース類の選択肢は一番多いかもしれません。

最も大きく感じるのはONEXPLAYERでしょうか、Switch(Liteでない方)が縦横102×239mmなのでそこからさらにひとまわり横幅が大きくなっています。普通にA4ノートPCに近いくらいのサイズがありますね。縦横比が特殊なので、ケースやスリーブの選択肢は限られてくるというか、専用品以外でぴったりサイズのモノを見つけるのはなかなか難しいと思われます。

 

重さ

GPD WIN3:約560g
GPD WIN MAX:約800g
ONEXPLAYER:約820g

GPD WIN MAXとONEXPLAYERはほぼ同じ重さですが……正直言うとかなり重たいです。持ち上げた状態で長時間プレイするのはもはや筋トレでしょう。電車の中で立ったままプレイ、はかなり難しいと思います。
ONEXPLAYERの方は小さいキックスタンドが付いてるせいか、テーブルに置いたままプレイするスタイルになっていますね。GPD WIN MAXでも背面にスタンド足をとりつけることで似たようなプレイスタイルが可能になります。
個人的には、約800gクラスでも1時間くらいのプレイなら慣れたら問題無いかな、慣れるな、という感じでした。ソファーなどで遊ぶ場合にはクッションの上にのせたり、肘掛けを利用する等、わりと工夫でなんとかなる場合もあるかと思います。
これに対して、GPD WIN3の軽さ&小ささは圧倒的で、かなりのアドバンテージです。

サイズ・重さに関しては結局のところ自分のプレイスタイルと相談して決めることになりそうです。

 

液晶画面

GPD WIN3:5.5インチ、1280×720、268PPI
GPD WIN MAX:8インチ、1280×800、189ppi
ONEXPLAYER:8.4インチ、2560×1600、358PPI

画面サイズ的にはGPD WIN3→GPD WIN MAX→ONEXPLAYERの順で大きくなります。ONEXPLAYERの8.4インチくらいあれば、ブラウジングや軽作業も可能になってくるサイズですね。
ちなみに、NintendoSwitchが6.2インチ、1280×720ピクセル、SwitchLiteが5.5インチ1280 x 720ピクセルです。数字見るとGPD WIN3はもうまんまSwitchLiteですね(Lite比べると重くてファン音もありますが)、サイズ感や使用感気になる人はSwitchLite触ってみるのも良いかもしれません。
逆に5.5インチのモニタで細かいゲームをするのは厳しい、という方には8インチクラスのGPD WIN MAXやONEXPLAYERが選択肢に入ってくるでしょう。
解像度をみるとONEXPLAYERの2560×1600、358PPIは圧倒的で、1280×800、189ppiのGPD WIN MAXはイマイチに見えますが、ゲーミングPCとして考えると少し見方が変わってきます。
ONEXPLAYERで実際にベンチマークなどをやってみるとわかりますが、解像度が大きいと描写に著しい負荷がかかるので、2560×1600の高解像度で3Dゲームが遊べるわけではありません。2560×1600の解像度なので、その半分の1280×800でプレイする想定になっています。ちょうど半分なので、ゲーム側で設定解像度を変えてもゲーム画面がぼやける事もありませんよ、という話ですが、ドライバやゲーム等によってはうまくいかないケースもあるようです。
こうしてみると、GPD WIN MAXの1280×800、189ppiという数字は、ゲームをやる上では問題の起きにくい解像度、という事になります。そうはいっても200ppi近くの解像度はあるので、ゲームプレイ中にドット感が気になる、ということもそこまでありませんでした。
この辺は割り切りというか、コンセプトの違いですね。

デザイン

GPD WIN3は、古いPCユーザの人にはVAIO type Uそっくり、と説明するのが早いですね。おしゃれ感は無いですが、スライドするギミックなど面白さはあります。

GPD WIN MAXは閉じてしまえば普通のクラムシェルUMPCとして通用します。もうちょっと薄かったらスタイリッシュ感有るんですが……バッテリーサイズがあるのでなかなか難しいですね。カフェとか移動中に使うには一番目立たない形状かと思います。

ONEXPLAYERは今風というか、デザインとしてはゲーミングPCなどに似てスタイリッシュ感がありますね。仕事してる感を出すのはちょっと難しいかも知れません(機能的には一番仕事・作業用に向いてるんですが)。

あと、画面の位置とコントローラーの関係ですが、GPD WIN3やGPD WIN MAXはゲーム画面の位置がコントローラーの位置よりも少し上になります。コントローラーと画面が平行になっているタイプよりも手元を見下ろしている感が少なく、目線をあげてプレイできるので疲れにくく感じます。この辺は個人差というか、好みが分かれる問題です。

 

騒音

ファンの音に関しては、負荷に応じて大きくなる仕組みです。PCとしてブラウジングなどで利用する分にはそこまでうるさくないのですが、ゲームなどでフルに稼働している場合には消費電力も大きくなるのでそれなりにファンの音がします。
GPD WIN3、GPD WIN MAXの場合にはファンの吹き出し口の前にモニターが来るので、プレイしている本人の体感では多少音が和らぐ印象です。
周囲の人には「ちょっと気になる」くらいの音がします。

 

キーボード

GPD WIN3:スライド式のタッチパネルキーボード
GPD WIN MAX:物理キーボード
ONEXPLAYER:脱着式のキーボード有

パスワード入力やちょっとした入力であれば、GPD WIN3のタッチパネルキーボードで十分かと思います。
ONEXPLAYERには物理キーボードが装着できるので、軽作業とかしたい人向けには良いのですが、キーボードをつけたまま手に持ってゲームをする、という用途には向いていません。
GPD WIN MAXであれば、ゲームプレイ中にちょっとキーを押す、ということも可能ですし、キーボード入力主体のゲームもそのままプレイ可能です。
テーブルの上等で「キーボード(+マウス)主体でプレイするゲーム」を遊ぶなら、ONEXPLAYERの脱着式のキーボードが一番使いやすいかと思います。GPD WIN MAXのキーボードは(地面からの)高さがあるので若干操作しづらさがあります。

 

汎用性

ゲーミングPCですが、スペックが十分高いため、ビジネス、あるいはそれ以外のハードな利用(エンコードやレンダリングなど)もある程度可能です。その辺のモバイルPCよりも冷却が優れているのでむしろ安心感もあります。
もちろん「小さい画面でどこまでやるか」という問題はありますが、ONEXPLAYERはそこそこ大きい画面サイズと脱着式のキーボードがありますし、GPD WIN MAXの場合にはキーボードもタッチパネルも付いているので移動中や出先での軽作業も可能になります。

 

拡張性について

GPD WIN3:USB Type-A×1、USB Type-C(Th4)×1のみ、ドッキングステーション有り
GPD WIN MAX:USB Type-A×2、USB Type-C(Th4)×2、HDMI、有線LAN
ONEXPLAYER:USB Type-A×1、USB Type-C(Th4)×2

どれもCPU等のスペックも高く、拡張性もそれなりにあるので「ゲームするときにはそのまま遊んで、必要に応じてモニター等必要な諸々をつないでデスクトップPC的に使う」ということも可能です。GPD WIN3のドッキングステーションは置くだけでつながるし充電・給電もできるので便利ですね。
本体のポート数、拡張性ではGPD WIN MAXが一番高いです。GPD WIN MAXには指紋認証リーダーが付いていないので二つ付いているUSB Type-Aの片方に指紋認証のドングルを付けっぱにしておく、ということも可能です。
3モデルともUSB Type-CがThunderbolt4に対応しているので、外付けのGPU(egpu)やモニタを付けてフルスペックでゲームをする、という使い方ができます。
GPD WIN3だけはUSB Type-C(Thunderbolt4)が1ポートなので、外部GPUを使う場合には電源供給ができる(ワット数に余裕がある)タイプのものが必要になります。

 

原神専用端末やソーシャルゲーム端末として

PC・スマフォ両リリースのゲームも増えてきましたが、特に原神はアクションゲームなので、タッチパネルではなくゲームパッドで遊べるメリットは非常に大きいです。
3モデルとも適性がありますが、移動中にちょっと遊びたいという用途ならGPD WIN3が一歩リードでしょうか。どうこう言ってもPCのお値段なので、コストを考えるなら比較的安価なGPD WIN MAXも良いでしょう。
無印のGPD WIN MAX(2020年モデル:Core i5-1035G7)でも原神のノーマル画質問題なく遊べ、コマ落ち等も有りませんでした。スペックを盛ってさらなる高画質を狙うのも良いかも知れません。

 

総評

とにかく「小さく・軽く・使いやすく」ということであればGPDWIN3が良いかと思います。

コスパ重視の方や、ネットゲームや軽作業などで「(物理)キーボードがあった方が良い」「画面もそこそこ大きい方が良い」というバランス型を求めるのならGPDWINMAXが良いでしょう。出張先や旅先、キャンプなどに「とりあえず持って行くPC」としても使い勝手が良いです。

「フルスペックがいい」、「ゲーム以外の事にも色々使いたい」、「キー/マウス操作のゲームがやりたい」という場合にはONEXPLAYERが良いかと思います。

3モデルともに一長一短というか「みんな違ってみんな良い」という感じなので、「どれが1番良いか」というよりは「どれが一番自分に合っているか」というのを考えると良いと思います。