バイクのジェネレータの発電方式の違い
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バイクのジェネレータ(発電機)を交換した場合に、発電方式が変わってしまうとそれに合わせてレギューレタや配線などを変える必要が出てきます。
YCF SM F155のジェネレータ交換時にこのへんがよくわかっていなくて、ミニモトのジェネレータが半波整流なのか全波整流なのかわからないままで作業してて、結果的には機器の組み合わせを間違えてました。変なつなぎ方して機器を壊したりとドツボにはまったので整理しておきます。
配線の色に関してはモンキー系カブ系に多い配線色ですが、ものによって異なる場合もあるので注意が必要です。
バイクの発電方法について
最近のバイクは電力の安定している三相交流、古い小型バイクは全波整流と半波整流に分かれる感じです。ジェネレータはエンジンの回転を利用してコイルを回して発電する仕組みで「発電時にどういった仕組みで交流電流を発電するのか」というのが発電方法の違いになります。また「ジェネレータで発電した交流の電気を直流に変換」する、レギュレータ(レクチュエータ)の機能にももかかわってきます。
電球のヘッドライトは交流でも動作するので、バッテリー充電用の直流と、ヘッドライト用の交流電流があって、直流/交流で配線が二系統に分かれているバイクもあります。
三相交流
3つのコイルが平行して発電するので、変動の少ない安定した波形になり、発電効率も良い。排気量の多いバイクや最近のバイクで採用されている発電方式。
単相半波整流方式
電流を一方にしか通さないダイオードに交流で発電した電流を通すことで交流を直流に変換する方式。ダイオードを通して単純に交流の電流を半分捨ててしまうだけの方式なので電圧や電流は安定しない。半波整流とも呼ばれる。
併用コイル方式
ヘッドライト用の交流電流と、バッテリーへの充電を一本のコイルで賄う方式。古い原付に採用が多い。
コイルの一端がアース(エンジンケース)に繋がっていて、充電用の出力線(白)とコイルの途中からの分岐線(黄色)の二本の出力線が出ている。
一本のコイルで二系統の出力をこなすので併用コイルと呼ばれる。ジェネレータととヘッドライトが直接交流で繋がっているので、エンジンの回転数に応じてヘッドライトの明暗が変わったりする。コイルの片側がアースに繋がっているので、出力線とアース(エンジンケース)の間をテスターで測ると導通が有る。
単相全波整流式
半波整流方式で捨ててしまっていた負電圧側も整流する方式、半波整流方式に比べて電力効率が良い。
全波整流の場合には1本のコイルが2本の出力そのままレギュレータに繋がる。アースと繋がっていないので、エンジンケースなどとの導通は無し。
出力線は黄色/桃色か黄色/白。
ジェネレーターとレギュレータの組み合わせ
併用コイル式の場合、コイルからの出力線が2本(2系統)ありますが、白線の1本(とアース)だけで発電可能です。モンキーの配線図なんかを確認すると、黄色の出力は交流のままヘッドライトに繋いだりしていて、バッテリーや直流の機器とは独立させて使っていたようです。
自分が交換したミニモトのジェネレーターは、全波整流なのか半波整流なのかはっきりせず、最初は全波整流のジェネレータだと思っていたので、レギュレーターも全波整流対応のものを調達して接続していました。
半波整流の併用コイル式の場合、出力2本(白/黄)をそのまま「全波整流式の」レギュレーターに繋いでもきちんと動作しませんが、ジェネレータのアースと白を入力に入れると一応出力が出てきます。実際にエンジンをかけてテスターで計ったところ、レギュレータから出てくる直流は4~5vでした。
レギューレータを半波整流のものに交換したところ、アイドリング8~9v、アクセル明けると12v以上の直流電流が取り出せるようになりました。テストだと18V出てましたが、ヘッドライト等何も負荷が無い状態だとそれくらい出たりもするみたいですね。
ヘッドライトで交流使わない場合には、黄色の出力線(交流用)は使いません。
レギュレータはボディ右側のイグニッションコイルと一緒に固定しました。CDIはシート下なので、CDI、イグニッションコイル、レギュレータ、とだいたいまとまってるので配線はしやすいです。
走行テスト
発電量あまりなくても灯火類がLEDなのでなんとかなるかな、と思い全波整流への交換・改造等は考えませんでした。アイドリングだと電力少ないですが、アクセル明けると結構電圧が上がるので、走行充電もできそうです。
さて、無事直流が取り出せるようになったので、灯火類とバッテリー系統に繋いで、実際にテスト走行してみました。
走り始めから30km~40km/hくらいで回転数があがってくると、電圧も上がっていき14v→15v→16v……となってきたので16Vが見えたあたりでいったんテスト中止しました。
リチウムイオンのバッテリーがほぼ充電状態なせいもあると思うのですが、これはちょっと電圧が高すぎですね。追加搭載したバッテリーはリチウムイオンバッテリーなので、14.8vを超える電圧が流れるとバッテリーの劣化を招くだけでなく、最悪発熱・発火の危険性があります。
そうならない為に電圧が上昇した場合には一定値で抑えるのがレギュレーターの役割なんですが……古いバイクは16Vくらいは平気で出ちゃうみたいですね。
降圧回路みたいなものを作ってみたりもしましたが、発電側の電圧の昇降が激しいせいか、上手く安定しなかったので、結局バッテリーとジェネレータの間に配線入れてスイッチを取り付けて「電圧が上がりすぎた時にはスイッチをオフにしてジェネレータとバッテリーを切り離す」という運用にしました。
そのうち別の方法を思いついたら試そうとは思いますが、しばらく走らせてみても今のところ問題は起きてません。
エンジンのKillスイッチと、バッテリーとジェネレータの連結スイッチがハンドルに並んでます。若干やかましくなってしまいましたね。
まさか、過充電の問題が出るとは思いませんでしたが、古いジェネレータとリチウムイオンのバッテリーの組み合わせはなかなか難しいですね。