Steam deckの内臓SSDにSteamOSとWindowsを共存させる方法

Steam deck | ガジェット

Steam deckの内蔵SSDの領域を、SteamOS用とWindows用の二つに仕切り、そこにWindowsをインストールする方法です。

SteamOSが内蔵SSDで利用しているデータ領域はEx4というファイルシステムで、Windowsからはアクセスすることができません。まずこれをBTRFSというファイルシステムに変換し、SteamOS部分のデータ領域を縮小、空いた領域にをWindows用のファイルシステム(NTFS)を作成し、そこにWindowsをインストールする、という手順になります。

内臓SSDにSteamOSとWindowsを共存させるため、内蔵SSDの容量が128GB/256GBの場合には設定やインストールができても、後々ゲームをインストールする領域が足りなくなる恐れがあります。「内臓SSDを大容量のものに交換」するか「MicroSDカードを追加する」するな場合によっては容量を確保する必要があります。

前準備

インストールに必要なもの

Windowsのライセンス

SteamDeakにはWindowsのライセンスは含まれないので別途自分でライセンスやプロダクトキーを用意する必要があります。シリアルなしで一時的にインストールすることも可能ですが、恒常的に使うのであればライセンスを用意したほうがよいでしょう。

 

USBメモリ

16GB以上のものがあれば問題ありません。

 

USB変換アダプタ/Type-C USBHUB/ドック

SteamDeakはType-Cコネクタが一個だけなので、USBメモリやキーボードを接続するのに変換アダプタやUSB-HUBが必要になります。Type-CのUSBHUBですが、USBメモリを刺しても起動時に認識しないものも結構ありました。ドックなどでも構いませんが認識するかどうか不安な場合は変換コネクタも用意しておいたほうが良いかもしれません。

手元にあったものを試したところ、安いType-CHUBでは認識せず、AnchorAnker PowerExpandはUSBメモリ認識しました。

 

USB接続のキーボード

Windowsの初期設定中に文字入力が必要になるので、有線USB接続が可能なキーボードが必要となります。Type-Cコネクタに接続するために、変換アダプタかType-CのUSBHUB/ドックが必要になります。

 

 

WindowsインストールUSBメモリの作成

マイクロソフトからイントールUSB作成ツールをダウンロードしてUSBディスクにWindowsのインストールデータを書き込みます。

 

「Windows11をダウンロードする」 https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11

 

上記のサイトから「Windows11のインストールメディアを作成する」の「今すぐダウンロード」をクリックすると「mediacreationtool.exe」がダウンロードされます。

 

「mediacreationtool.exe」を実行するとUSBインストールディスクの作成ツールが立ち上がります。

「同意する」をクリック。

「このPCにおすすめのオプションを使う」のチェックを外し、「次へ」をクリック。

USBメモリをパソコンに差し込んでから「次へ」をクリック。

USBメモリが表示されている(この場合はDドライブ)ことを確認して「次へ」をクリック。

Windowsのインストールデータをダウンロード後USBメモリに書き込まれます。

 

各種ドライバーのダウンロード

ValueのサイトでWindows用のドライバーが公開されているのでダウンロードしておきます。

「Steamサポート :: Steam Deck-Windowsリソース」 https://help.steampowered.com/ja/faqs/view/6121-eccd-d643-baa8

 

ダウンロードするのはAPU Drivar Wifiドライバー、Bluetoothドライバー、SDカードリーダードライバー-と、オーディオドライバーが2ファイルの全部で6ファイルです。

ZIPファイルなので、右クリックで「すべて展開」を選ぶと解凍され新しいフォルダが出来ます。

解凍したフォルダをひとつにまとめて、先ほど作成したWindowsのインストール用USBメモリにコピーしておきます。

 

※パーティション操作などの作業が初めて、作業などに不安がある方は、最悪失敗した場合にそなえて、予備のUSBメモリなどにSteam OSのリカバリメモリを作成しておくと良いと思います。途中の作業やデータは消えますが、Steam Deakを初期状態に戻せます。

SSD内の領域の分割

SteamOSのデータ領域のファイルシステムをBTRFSに変換する

Steam deck内のデータ領域(home)を縮小できるようにするため、データ領域のファイル形式をBTRFSに変換します。

まずSteamOSを普通に起動し、デスクトップモード(電源ボタン長押し→デスクトップに切り替え)を起動します。

Firefoxを起動(初回の場合はインストールから)して、下記USBへアクセスし、SteamBTRFSのインストールを行います。

SteamBTRFS
https://gitlab.com/popsulfr/steamos-btrfs#install

「Download installer」をクリックしてダウンロード

下部メニューからフォルダアイコンをクリックして「Downloads」から「Steamos-btrfs.desktop」をダブルクリック。

※以後の操作ですが、環境や設定によっては出ない確認やメッセージがあります。

実行確認が出た場合には「Execute」をクリック。
Sudoパスワードをあらかじめ設定していない場合にはここでパスワードの設定画面が表示されます。任意のパスワードを設定してよいのですが、ここで設定するのはいわゆる「管理者(root)アカウント」のパスワードです。SteamBTRFSの実行だけでなく、システムにかかわる設定等に必要になる場合がありますので、メモしておくか覚えておいて忘れないようなパスワードを設定してください。
設定したパスワードを入力するとSteamBTRFSが実行されます。
実行確認が出たら「Continue」
「Procesed」
「/dev/disk/by-partsets/self/rootfs」にチェックをいれたままで「ok」
「Convert/home」
「Reboot now」

「Reboot now」をクリックすると、再起動して、BTRFSへの変換が始まります。

作業が終了するとまた再起動してSteamOSが立ち上がります。

これでBTRFSへの変換は終了です。

Windows用のパーティションの切り分け

SteamOSが起動したら、再度デスクトップモードを起動し、パーティションの切り分けをしていきます。

左下のスタートボタンをクリックして「KDE Partision Manager」を起動します。

左下の「スタート」→「All Applications」→「K」→「KDE Partition Manager」
起動時にSUDOパスワードを要求されるので先ほど設定したパスワードを入力
内臓SSDのパーティション構造が表示されています。一番下の「home」がデータ領域です。BTRFSになっています。
一番下の「/home」を右クリックして「Resize/Move」をクリック。

ここでデータ領域を縮小します。Windows用のスペースとして使いたい領域(100GB~200GB程度)の任意のサイズを自分の用途に応じて決めておいてください。

現在の領域が表示されているので、「現在の領域サイズ-使いたいサイズ」を入力します。

homeが縮小されて空き領域(unallocated)ができました。

開いた領域にWindows用のパーティションを作成します。

unallocatedを右クリックして「New」を選択。
「File system」をクリックして「ntfs」を選択
作成する領域サイズは自動的に最大値がはいるのでそのまま「ok」を選択
Windows用の新しい領域が作成できました。
変更結果を反映させるため左上の「Apply」をクリック
確認が出るので「Apply Pending Operations」をクリック。
パーティションの構成が変更されます。終了したら「OK」をクリックします。
これでWindows用の領域が実際に作成されました。

SteamOSを終了(スタートボタンからShutdown)してWindows用のインストールに入ります。

Windowsのインストール

Windowsのインストール

インストール用USBメモリを作成したら、USBHUBなどを使ってSteam deckに刺し、USBメモリから起動します。後々使うので、USBキーボードも繋いでおきます。

Windowsのインストールが始まれば、「右側のタッチパッド」と「右トリガー(クリック)」でポインタの操作ができるので、マウスがなくてもOSの操作自体は可能です。インストール時にソフトウェアキーボードは使えないようなので、文字入力にはUSBキーボードが必要です。


USBメモリから起動するには、Steam deckの電源をオフにした状態から、「ボリュームボタンのマイナス」を押しながら「電源ボタン」を押すと、電源投入後、ブート(起動)デバイスの選択画面が表示されるので、「EFI USB Device」を選択します。選択には十字キーが使用できます。

しばらくするとWindowsのインストーラーが起動します。

Windowsの画面が本体に対して横になっていますが、動作に問題はありません。
本来縦長で使われている液晶をソフトウェア的に横向きの設定で使っているので、標準の状態だと縦長表示になります。

OSのインストールが終わって画面の設定ができるようになれば、縦横の回転ができるようになるので、それまではSteamDeakを縦に置いて作業してください。

「次へ」をクリックしてWindowsのインストールを進めます。

ライセンス条項への同意にチェックを入れて「次へ」

Windowsのプロダクトキーが用意できている場合には入力します。プロダクトキー無しでインストールする場合には「プロダクトキーがありません」をクリックして、インストールするOSの種類を選びます。

カスタム・詳細設定をクリック

空き領域のあるパーティション(ドライブ0パーティション9)をクリックして「次へ」

しばらくすると自動的に再起動され、Windowsの初期設定が始まります。

Windows11の初期設定

再起動したら、MicrosoftアカウントやWi-Fiの設定など、Windows11の初期設定が始まります。

「日本」を選択して「はい」
「はい」を選択
「スキップ」を選択
WI-FIへ接続してインターネットの接続を確保します。

デバイス(Steam deck)に任意の名前を付けて「次へ」

Microsoftアカウントにログインします。

アプリや設定などを引き継ぐかの確認です。復元する項目を選択するか、「他のオプションを表示」から「復元するデバイスを選択」するか「新しいデバイスとして設定する」を選んで「次へ」

PIN:PINを設定します。

任意の数字を入れ、確認のためもう一度入れてから「次へ」

プライバシー設定:何回か「次へ」を押して「同意」

エクスペリエンスのカスタマイズ:必要なければ「スキップ」

Androidの連携:必要なければ「スキップ」

GamePASS:「スキップ」
初期設定が終わると、しばらくしてデスクトップが表示されます。

画面の向きの変更

縦長になっている画面の向きを横向きに変更します。

デスクトップのなにも無いところで「右クリック」し「ディスプレイ設定」をクリック
「画面の向き」を「横」に変更
画面の向きが変わるので「変更の維持」をクリック

各種ドライバーのインストール

ValueからダウンロードしたドライバーをUSBメモリ内のフォルダからインストールしていきます。

APU driver:フォルダ内のSetup.exeを実行
Wi-Fiドライバー:フォルダ内のinstall.batを実行
Bluetoothドライバー:フォルダ内のinstalldriver.cmdを実行
SDカードリーダードライバー:フォルダ内のsetup.exeを実行
オーディオドライバー(1/2):フォルダ内のcs35l41.infを右クリックして「インストール」を選択
オーディオドライバー(2/2):フォルダ内のNAU88L21.infを右クリックして「インストール」を選択

以上のインストールが終われば、Windows版のSteam deckは利用可能になります。

ライセンスの更新

継続的に利用する場合や、プロダクトキーがある場合には「スタート(Windowsボタン)」→「設定」→「ライセンス認証」の項目から有効なプロダクトキーを入力しておきましょう。

SteamOS/Windowsの切り替え

以上の方法でWindowsをインストールすると電源を入れると基本的にWindowsが立ち上がるようになります。SteamOSを起動するには次の項目を試すか、ブートレコーダーのカスタムが必要になります。

WindowsメインでたまにSteamOS、という感じであれば必要ありませんが、頻繁に切り替えるようならば、以下を参考にカスタムブートレコーダーを導入してください。

Steam DeckでOSの切り替え機能(カスタムブート)を利用する

SteamOSの起動

「ボリューム+」ボタンを押しながらSteamDeakの電源を入れ起動メニューを表示させます。

左十字キーの「↓」を押して「Boot From File」を選んで「A」を押します。

十字キーの「↓」と「A」で、「3つのリストから1番上」>「efi」>「SteamOS」>「steamcl.efi」を選択するとSteamOSが立ち上がります。

SteamOSを立ち上げるのに多少手間がかかるので、ブート先を切り替えるツールもあるようです。