走行レビュー:原付二種登録で1000w高出力モータ搭載の電動バイク マーベリックs1、1ヶ月乗ってみた感想

マーベリックs1 | バイク関連

原付二種登録で高出力(1,000w)モータ搭載のマーベリックs1、一ヶ月(約500km)乗ってみたのでレビューです。

※以下基本的にマーベリックs1-1000のデータ、レビューになります。モータ出力やブレーキなど仕様の違うモデルもあります。

 

マーベリックs1-1000の大まかな特徴

高出力(1,000w)モータ搭載
前後サスペンション
油圧CBSブレーキ
リアキャリア取り付け可能で荷物も搭載しやすい
原付二種(二人乗り可能・二段階右折等必要ない)

シート、足つき

自転車ライクな電動バイクと違ってシートの高さ調整はできませんが、足つきはそこそこ良いです。
シートは前後で多少高さが違うタイプ。シート高確保のせいか、前側のクッションは若干薄い気がします。個人差でるところかとは思いますが、一人で乗ってるとちょうど前後の段差があるあたりが位置的にちょうどよいので、多少シート高が高くなっても良いからフラットタイプのシートが欲しくなります。

シートとフレームがあるのでニーグリップも頑張ればある程度可能です。

車体

宣材では黒モデルが出てましたが、車体カラーは選べます。かなり大きめのリアキャリアを取り付け可能です。

バッテリーはシート下部分に搭載可能で、追加バッテリーと取り付けてデュアルバッテリー仕様にも変更可能。追加バッテリーを搭載しない場合には空きスペースに搭載する用のバッグも公式から出ています。

走行感

走り出しはスムーズです、エンジン音が無いので僅かなモータ音とファットタイヤの走行音だけがふぉー、ぶぉーっ、っとロードノイズが鳴る感じで、電動バイクになれてないと不思議な感じがするかもしれません。この辺ファットタイヤからオンロードタイヤに変えるとさらに静かになって走行性能も上がりそうですね。
よく見る「折り畳みタイプの電動バイク」と違って一体型のフレームは安定感は抜群で。サスの効きも良く、まさに「バイクを運転している」という感じです。折り畳み可能な原付一種の電動バイクとは全く違う乗り心地&違う乗り物、と言ってよいと思います。

組み立てて最初に走行したときは、キャリア等全くつけていなかったのでリアが軽かったせいか、40~50km/h走行時に段差等で跳ねるような感じがあって、若干怖かったです。リアキャリアを付けて荷物を載せるとちょうどよかったので、この辺は好みや用途によると思います。
リアサス(800lbsのものがついてました)は調整こそ効かないですが、気になるなら交換してしまう、という手もあるかと思います。

ブレーキ

前後油圧ディスクブレーキです。制動力はかなり強いと思います。
CBSが付いているので、右レバーだけで前後ブレーキがかかります。右で減速して、止まるときの微調整で左握る感じで使ってます。両方ブレーキ掛けると前後で強めにかかります。

組み立てて走り出したときに、若干ブレーキ柔らかい(緩い)な、と思ってましたが、後日電動バイク屋さんでブレーキオイル交換・調整してもらったらしっかりかかるようになりました。

加速・パワーについて

ギアというかモードというか、速度切り替えが5段階(5速)になっています。

モード1:ペダル走行のみ
モード2:ペダル走行時に電動アシスト
モード3:アクセルオンで徐行スピード(だいたい30km/h以下)
モード4:だだいたい40km/h以下での走行
モード5:制限無しの加速

モード3~5でもペダルを回せばアシストが入ります。ペダル回転時にアクセルがオンになるスイッチがついている、というイメージです。
エンジンバイクと違って、低速ギアから走り出す必要は無いので(むしろ低トルクの方が伸びが良いです)、5速からいきなり走り出すことも可能です。駐車場や家の周りの細道はモード3か4で走り出して、幹線道路に出るときに5速に切り替え、みたいな使い方をしていました。

5速でアクセルをまわすと走り出し30㎞/hくらいまではぐんと伸びて、40~45km/hくらいまではスムーズに加速。そこから更にひっぱって、じわじわ50km/hまで加速していく感じです。特に意識せずにアクセル開ければ40km/hは普通に出るので公道で流れに乗って走行、というのは問題なく可能かと思います。
最高スピードは本体2バッテリー搭載の状態で運転者+荷物=80kgくらいでメータ読み52km/hでした。

登坂能力ですが、ちょっとキツめな坂道上ってみましたが、加速しながらだと40km/hくらい、坂道発進でも30km/hくらいは出ました。乗用車に比べると若干心許なさはありますが、流れに乗ったまま走行できるラインだとは思います。原付一種の電動バイクだと可能なら避けたい坂道ルートでも気にせず走行できるのは爽快、の一言です。

ペダル走行について

ペダル走行に関しては「バッテリーが切れても最悪こいで移動ができる」という話を良く聞きますが、実際やってみると相当しんどいですし、公道で低速走行する危険性もあるのであまりお勧めしません。ペダルはローバッテリー時や、坂道発進、二人乗り時等で「加速力が足りないときに補助的に使う」という用途の方が向いていると個人的には思います(そうした利用方法で結果的に走行距離も伸びますし)。というわけで、ペダルの方は基本ギア1か2にしておいて、スタート加速時にパワーが足りなかったらこぐ、というのが主な使い道でした。

スピードと出力について

メータに消費電力の出力ワット数も出るんですが、それを見ると最大で1000w~1100wくらいは出てるようですね。
電動バイクの特性として、バッテリーの残量が減るにしたがって、最高出力が落ちていきます。マーベリックS1の場合も当然そうなのですが、落ち方はそこまで落ちるわけではないというか、最高速度は若干おちるものの、メータ表示で2~3割切るくらいまでは結構普通に走行できる感じです。
電池残量は数字(%)が出ないので、おおよそになりますが、残り2~3割くらいまでは900~1000w出力が出てるようです。この状態でも最高速度が若干落ちるものの基本的に40~45km/h走行は問題なく可能です。
2割切ったあたりから徐々に加速力・最高速度が落ちてきます。出力を見ると500~400wくらいまで落ちると30~35km/hがやっとという感じでしょうか。
一応30km/h走行ができるならば、左車線走行というか、原付(1種)のように、上手く抜かれる走行ができれば一応問題なく走れます(交通量が多い&狭い道などでは難しいですが)。300wを切るともう息も絶え絶えというか、普通に信号青からの発信もペダル加速無しでは厳しめになります。このノロノロ運転状態=残量10~15%くらいになると電力残量メータが赤く変わります。
20%前後でパワー落ちてきたな、と感じたらバッテリーを完全に使い切ってしまう前に、発進・加速時のペダル走行などを併用することで多少走行距離を延ばすことが可能です。発進・加速時にペダル走行も併用しながらで、だましだまし走行することで20%から2~3kmは走行できました。

 

走行距離について

通勤がちょうど10~13㎞くらいのルートなので、道を変えたりしてデータを取ってみました。
ざっくりな話だと往復20~24km(ルートによる)で、行って帰ってギリギリ、という感じでした。もうちょっとだけ余裕があると良いなぁ、と思いましたが……。データ取ったのが1月と2月で、気温が10度以下になると目に見えて距離が減る感じです。暖かいと1割くらいは増えるかと思います、逆に零度近くとかだともっと短くなる可能性もあるかもしれません。
トータル200km分くらいデータとってみましたが、冬場、基本5速のみでの走行、ストップ&ゴーの多い都内、という厳しめの条件ではありますが、時速40km走行が維持できる状態での1バッテリーの走行距離としてはだいたい20~22㎞前後の走行が可能、という数字でした。速度落ちた状態で&ペダル走行も併用して、だと2~3kmくらいは走れるので、バッテリーひとつを目一杯使い切る感じで22~25㎞くらいでしょうか。
ほぼ5速のみで走行していましたが、45~50km/h走行時は常に1000w超える出力だったので、ひたすら高速走行するよりも4速あたりで30~40km/hでのんびり走行した方が走行距離は伸びると思います。通勤等で幹線道路を車の流れに乗って快適に走りたい、と思うと基本5速での運用になるのでこの辺は用途や人によると思います。

充電の手間もあるので、あんまりデータを取っていないので印象論ですが、2バッテリー状態で走っても特に走行特性が変わる感じはありませんでした。二人乗りの時に走り出しが若干スムーズかな、と思いましたが気のせいかも知れません。

単純計算で倍なのでバッテリーをふたつともオンの状態で40kmは走れるとは思うんですが、走行距離の把握がしづらいのと、バッテリーふたつを都度充電するのが面倒なので、基本1バッテリーだけオンの状態で走ってます。出先で出力落ちてきたら、バッテリー1をオフにしてバッテリー2をオン、みたいな感じですね。
通勤だとちょうど1往復でバッテリー1個分でギリギリ間に合うので、1バッテリー分使う&使ったほうだけ外して充電、みたいな感じで使えるので便利でした。ちょっと遠出する場合でも1バッテリー(8割)使い切ったところで走行距離半分、という使い方の方が走行距離=バッテリー消費も把握しやすいし、出先での電欠を避けられて良いかな、と思います。

原付二種

原付バイクには2種類の分類があり、普通自動車免許・原付免許で運転できる原付一種(50cc/600w以下)と、小型限定普通二輪免許か普通二輪免許(いわゆる二輪免許)で運転できる原付二種(125cc/1000w以下)とがあるんですが、マーベリックs1(s1-1000)は1000w出力モーターなので原付二種の分類になります。
走行性能的の限界はありますが、30k/hの速度制限がない、3車線以上の交差点で二段階右折しなくても良い、といった法規上の制限がないのが非常に大きい特徴です。法律以前に原付一種の600w電動バイクなんかだと最高時速が30~40km/hのものが多いので、車線変更するのにもかなり気を遣う感じになるので、その点もマーベリックs1では心配要らないのが良いですね。
2段階右折に関しては、それ自体のめんどくささもさておき、交差点によっては2段階右折禁止の場合もあるので、丁字路やY字路、合流などでどう曲がれば良いのか初見では判断しづらい、というのが有ります(車などとは挙動が変わるので、周りの動きが参考にならない、というのも大きいです)。
原付2種だとアンダーパス等も走行できる(二輪車走行禁止の場所で無ければOK)のも良いですね。
免許は必要になりますが、原付(一種)ならではの面倒くささからも解放されるのも原付二種のメリットともいえます。

総括

電動バイクの特性というのは「物理的な限界」が先にあって、メーカやモデルによって極端に数字が違う、ってことはないのが現状だと思います。

全個体電池等で電池の性能が飛躍的に上昇するとか、コンビニでバッテリー交換できるとか、急速充電ステーションがガソリンスタンド並みにできるとか、前提条件が丸ごと変わるような状態になるまでは、重量×モータ出力×バッテリー容量の制限からは逃れられないのが電動バイクの現状です。

その中でマーベリックS1は「モータ出力に振り切ったモデル」と言えると思います。バッテリー容量自体は2バッテリー総量で考えると多い方ではあると思いますが、高出力と若干重たい車体重量で相殺、といった感じでしょうか。

バイクとして考えるなら実質走行距離40~45kmというのは、遠出もできないし中途半端という感じもありますが、電動バイクであれば結構走る方です。ペダル走行の補助もあるので電欠に対して多少安心感もあります。原付二種の上限である1000w出力で、40km巡行最大50km/h超の走行が可能、というのは公道で快適に走るための最低限のラインで、それを実現しつつそれなりに現実的な価格で手に入る、というのは大きい魅力だと思います。流行の折りたたみタイプの電動バイクは自転車ライクなクォリティのものが多く、耐衝撃性やフレーム強度などを考えると40km/hを越える走行や、最終的な走行距離が伸びる通勤用として使うには相当無理があります。前後サスで乗り心地も良く、フレームも頑丈でとにかくしっかりしている、というマーベリックs1は長く乗るにも良いでしょう。
維持コストも安くメンテの手間も最小限、通勤や買い物にで使う、バイクらしい電動バイクが欲しい、と、用途に合致する人には良いバイクになるのではないでしょうか。