ラリー用のマップホルダー(コマ図ホルダー)自作

コマ図を使ったラリーの使われる「マップホルダー(コマ図ホルダー/マップケース)」ですが、いざ専用品を購入するとそこそこお値段がするのと、結構重量があるので固定の問題が生じる、というのもあって「軽量・簡易なマップホルダー」を自作してみることにしました。
マップホルダー自作に関してはいろんな人がいろんな方法で試行錯誤しているようですが、ケースに関しては「お弁当箱等の保存容器」、「タッパー」、「小物/工具入れ(マルチケース)」、「配電用のボックス」などを使用することが多いようです。
ちょうどよいサイズで加工もしやすいプラスチックのマルチケースを見つけたのでそれを使います。
事前準備
マップホルダーの部分ですが基本的には「4カ所×2で穴を開けて、全ネジロッドを通して止める」という構造です。そのほかに、マウンタの固定用に底面に4カ所穴を開けます。
全ネジロッドはM6の20cmを使い、ケースにあけた穴の保護にハトメを使います。ハトメは内径7mm。
材料
プラスチックケース(幅15cm以上)
全ネジロッド(M6)20cm × 4本
M6ナット×8個
M6ワッシャー×4枚
M6ノブ(ハンドル)×2個
M5ナット×4個
M5ワッシャー大×4枚
M5ボルト×4本
7mmハトメ×4組
熱収縮チューブ(9㎜→4.5㎜)
RAMマウントアダプタ
安価なケースなので加工に不安があるひとは予備を2~3個買っておくと良いと思います。
ハンドルやバーなどへの固定
RAMマウントであれば、ある程度の重量まではわりとしっかりと固定できるのでお辞儀(自重で前に傾く)はしないと思います。
ハンドルバーへの固定はRAMマウントの治具(マウンタやダブルソケット金具等)が別途必要になるので、必要なものを追加してください。
RAMマウント以外の安価なマウンタを使いたい場合には、実際のマウンタに合わせて、底面の穴を開ければ良いのでやってみてください。
固定部分の緩み防止について
各部の固定部分ですが、ロックナットやスプリングワッシャーなどゆるみ防止/滑落防止用のものを使用しましょう。また、ロックタイトなどのゆるみ止め用接着剤などを使うなどして、最低限の滑落防止策はとりましょう。また定期的に緩んでないか確認する事も大事です。


加工
穴の位置決め
マップホルダー自作する場合に難しいのが、開ける穴の位置決めです。
ケース、配電ボックスやお弁当箱などの汎用品は基本的には角にアールが付いているので、定規等で長さを図ってしるしをつけるのが難しくなっていることが多いです。

内側底面の幅に合わせてガイドになる用紙を作ってそれに合わせてしるしをつけて、穴を開けることにしました。

取っ手のところが内側に出っ張っているのでその線に合わせるようにガイド作製。
出っ張りが無い場合には、ガイドにする紙の方に5㎜~1㎝程度出っ張りを出すと良いと思います。


透明なケースなので、内側のガイドを見ながら穴あけ位置の確認・印付けが可能です。
穴あけ
ガイドの位置にマジックでしるしをつけてドリルで穴を開けます。

穴はハトメのサイズに合わせて7mmの穴を開けます。ガイドに合わせて中心に1mmの小さい穴を開けてから、7mmの電動ドリルで穴を開けていきます。ハトメによってはサイズぴったりだと通らない場合もあるようなので、その場合は0.5mm程度穴を大きめに開けるようにします。

素材が柔らかいので、ピンバイスでもがんばれば開けられると思います。徐々に太いバイスで広げてくか、3mm程度の穴を開けて拡張工具(テーパーリーマ)で拡張すればドリルがなくとも作業できると思います。

同様に底面にも穴を開けておきます、こちらはM5のネジをそのまま通すので5㎜穴。

開けた穴の反対側にバリが残っているとハトメが奥までハマらないので、カッターなどで削って平らにしておきます。
固定用マウンタ
固定用の手間を減らすために汎用部品(RAMマウントの1インチボール)を使います.
特定のホルダーを使いたい場合にはそれに合わせて穴を開けると良いと思います。
穴が開いたらナットに大ワッシャーを挟んでホルダーを止めます。ナットの頭はマップと干渉しないようにケース底面側にします。


大ワッシャーとRAMマウントの台座を挟むことで強度を出す算段です。よりしっかり固定したい場合には穴を開けたアルミ板を挟むなどすると良いと思います。
本締めする前にハトメ打ちの作業をするのでマウンタをいったん外しておきます。
ハトメ打ちとロッドの固定
底面のマウントが固定出来たらハトメを打っていきます。
一般的にはハトメパンチの方がかしめが楽ですが、奥側(底面側)の穴はパンチが通らないので、打ち具を用意してカシメ打ちをしました。打ち込みは100均の樹脂ハンマー使いました。

台座とケースのフチが干渉してうまく打てないことがあったので、その場合はうまく位置を調節するなどしてください。裏の平坦な面や、金属板などで打つのも有りです。

全ネジロッドは20cmのものを4本使います。軽く通してみて傾いてたりしないか確認します。

熱収縮チューブを15~16㎝くらいに切って全ネジロッドにかぶせます。その後ライターやドライヤーなどで加熱します。
火を使う場合はやりすぎると焦げるので注意。

ケースの内径は17㎝くらいありますが、幅ギリギリまで熱収縮チューブを付けるとロッドが通せないことがあるので多少短めにした方が良いです。熱収縮チューブとロッドを通してから熱する方法だと、ケースも熱で歪む可能性があるので止めたほうが良いです。
あとはロッドを通して、ワッシャーを嵌めてから、カシメナットで締めますが、まだ仮止め程度にしておきます。
次にマップホルダー側の軸です。
熱収縮チューブを付けてからワッシャー、ナットで止めるので、基本的にはやることは変わりませんが、左側に手回し用のノブを取り付けるのが違いになります。

ノブの内側にナットを一個挟んでおきます。ノブの取付方法等によっては幅が足りなくなるかもしれません。
ハンドル側から「ハンドル~ナット~ワッシャー」の順に入ってます。マップのたるみ/緩み防止に、ゴムバンドを巻いておきます外側のナット部分にゴムをかけます。
手回ししやすいように片側(上側)のノブを飛び出させたい場合は、別途長めの全ネジロッドを用意する必要があります。
問題無さそうであれば本締めします。
しっかり締めたいところですが、あまりきつめに締め付けすぎると、ケースが歪むのと、ガイド側はともかく、マップホルダー側の軸は「手まわしてある程度回転する程度」の締め付けに調整する必要があります。

基本的にはこれで完成になります。
追加加工
上記で最低限のマップホルダーとしては十分利用できると思いますが、より使いやすくしたい等、加工やパーツを追加するのも良いと思います。
M6全ネジ
M6とM5の全ネジで両方作ってみましたが、機能的には大きな差は有りませんでした。M6で作ると、M5に比べると50g程度重たくなります。ハンドルノブの選択肢はM6の方が多いです。(マウント部分はM5なので変わりません)。M6ロッドを使う場合にはハトメは内径7mmを使います。
マウンタ固定部分の補強
大ワッシャーの代わりに10cm×5cmサイズ1mm厚のアルミ板を挟みます。
ガイド用紙と同じ穴サイズではありますが、マウンタの現物合わせでしるしをつけて穴を開けました。穴の位置さえあってれば取り付けられますが、マウンタとアルミ板の平行が取れてないと見栄えは悪くなります(実用面では問題ありません)。
穴はM5ネジ用なので5㎜か5.5㎜の穴で。
1mm厚のアルミなのでさすがに手作業は大変だと思うので、電動ドリルを使いましょう。



全ネジロッドの切断
マップをロールさせる際に上下のノブに段差があると、上側のノブが回しやすくなります。
同じノブを使ってハンドル位置に段差を作りたい場合では、ロッドの長さを変える必要があります。長くしたいロッドだけ長いロッドを使用します。22cmくらいのロッドがあれば良いのですが、ちょうどよいサイズが無い場合には25cmや30cmのロッドを用意して切断する必要があります。
グラインダーがあると簡単ですが、金ノコがあれば手作業でも切れます。

ステンレスボルトを手作業で切断は結構大変ですが、1~2本くらいであれば根気でいけると思います。

ハンドルノブの位置が段差上になることで、上ハンドルを回しやすくなります。伸びた分高ナット(2㎜)を入れておきました。
20cmの全ネジロッドで問題なく作成できましたが、若干飛び出しが出るので、ピッタリのサイズに収めたい場合には同様にロッドを切り落とすことで調整が可能です。ノブを付けないロッドで18㎝~18.5cm、ノブが付いているホルダー側のロッドで19㎝~20㎝くらいでしょうか。
内側のガイド
マップをロールする際になんらかガイドがあるとズレにくくなります。

外側から「ナット – 大ワッシャー – ナット – 熱収縮チューブ」、という順に並んでいます。ナットと全ネジロッドの段差をなくすために熱収縮チューブを重ねて軸の厚みを合わせています。
その他の加工
ケースラッピング
上蓋部分の外側をカーボン調シートなどでラッピングすると、マップの外側をマスクできるので見やすさが向上します。
また見かけもグッと存在感が増します(こちらの方が主目的かも)。
バックライト
夜間や暗所でも使いたい場合にはバックライトを取り付ける必要があります。
手軽に済ませたい場合には底面に平型のミニライトを入れてテープで固定しちゃう、という手もあります。
恒常的に利用するのであればLEDテープライトでしょうか。電源にはUSB(モバイルバッテリーかバイクからとる)を使った方が楽でしょう。
また光量をかさましするためにケースの内側をスプレー等で銀塗装すると反射するので若干明るくなります。
電動
モーターを仕込んでマップを電動で動かす方法です。
マップを送ったり戻したり、と上下に動かせる必要があります。回路を使ってモーターを正回転/逆回転に動かせるようにするか、正回転と逆回転でモーターを二つ使うなど、なんらかの工夫が必要になります。
歯車やゴムベルト等を使ってマップホルダーの軸を回転させますが、あまり大掛かりになって重くなるとケースの固定に支障がでたり、ケース自体が歪んだりする可能性もあるので、電動機構を盛り込むなら強度のあるケースを使ったり、固定方法を変更したりと、根本的な対策が必要になります。
その他のケースの選択肢
サイズやケースの加工のしやすさ、入手性、価格など様々な要素があります。
はがきケース
A5横サイズが14mmなので、はがきと同じサイズになります。100均などでも売っているので「とにかく簡易に、安価に」といった場合には選択肢としては有りかもしれません。
お弁当箱
サイズなど選択肢が多いので探せば自分の要望にぴったりのものが見つかる可能性があります。フタ部分が防水になっていることが多いので防水性が有るのもメリット。
付いている仕切りはモータ部分の取付時に使うこともできるようです。
商品サイズを見ると高さがちょうどよいと思っても、フタ部分が意外と厚みを取っていて、ケースの深みがたりないことがあります。あまり底が浅いと、ロールしたマップが大きすぎてケースと干渉する可能性があるので注意が必要です。自前でマップ印刷する場合には薄いコピー紙使う等、運用でカバーする手もあります。



工具ケース/マルチケース
家庭用のタッパーよりは強度がありつつも、樹脂なので加工はしやすい。
サイズ/内寸が明記されているものも多いので選びやすい。
マップホルダーが重くなると強度的な不安も。
安いものが多いので複数買っておくと試行錯誤しやすい。
電源ケース
壁に固定する用途で使われることも多いので、防水性や強度が高い。
お弁当箱などで足りなくなりがちな「ケースの深さ」が確保できるので回路や機構を仕込むならこちらが良いかもしれません。ケースの角が丸くなっていないことが多いので、位置決め/加工はしやすいです。
また、ケース強度があると、電源/可動部分の固定等は楽になりますが、重たくなることで、ホルダー部に負担がかかったりして問題が起きることも多いので固定方法は検討が必要。
そこそこ高価なのが難点です。