ワコム互換ペンが使える端末まとめ
ペンタブレット、デジタルペンとして有名なワコム社のペンですが、その描きやすさや扱いやすさについては定評があります。ワコムペンの技術はGalaxyシリーズのスマフォやタブレットをはじめ一部のペン付属のタブレットなどにも採用されています。
特に、GalaxyシリーズのSペンは(Fold系を除けば)、ワコムペン(wacom oneの互換ペン)と互換性があるので、本体付属のSペン以外にも他の互換ペンが利用できます。
ペンをなくした場合などに「ペンだけ購入するのが難しい」場合や、「安価な互換ペンを探している」、純正ペンが小さいので「より使いやすいペンを探している」、といった場合にはwacom oneの互換ペンを利用することで問題が解決できるかもしれません。
互換情報に関しては公式情報として公開されている情報は僅かなので、過去の経緯や、互換性のある端末、互換ペンなども含めてまとめてみました。
過去の経緯と呼称について
Sペンにも採用されているワコムのペン技術は過去に「Wacom feel IT Technologies」という規格でWacom社以外のペンタブレット(PC)端末などに採用されてきました。ペンにはワコムのEMR技術(Electro Magnetic Resonance:電磁誘導方式)が採用されており、書き味が非常に良いのが特徴です。
Wacom feel IT Technologies互換のペンは互換性があって相互に利用できるのですが、Sペンも同様の技術を利用しているので、Wacom feel IT Technologies規格のペンも一応利用可能です。現在ではWacom feel IT Technologiesという表記は使われていませんが、Sペンなどの「wacom one互換ペン」とも呼べるペン同士は互換性があります。また特にWacomブランドのペンを標榜していない端末(一部のCromebookやBOOX NOVAなどの電子ペーパー機)でも互換ペンが利用されている場合もあり、その場合も相互にペンが利用可能です。しかしながらワコム純正ProペンなどワコムEMRペンでも互換性がないペンもあり、紛らわしいので、本記事ではwacom oneやSペンなどと互換のあるペンを便宜上「wacom one互換ペン」と呼びます。
過去の他社製タブレット用のものも含めると「Wacom feel IT Technologies」や「wacom one互換ペン」は相当数にのぼります。販売から時間がたってしまうと端末によっては「純正ペンの入手が難くなる」ケースもあり、その場合には別の互換ペンの導入を検討する必要があります。
他社製のペンとの違い
ワコムのペンにはEMR技術(Electro Magnetic Resonance:電磁誘導方式)が利用されており、これは(基本的には)電源を必要としません。アップルペンシルやMSのsurfaceペンなどはペン側に電池が入っているので、それらに比べて「ペンが軽い」のも特徴のひとつです。EMR技術は精度も高く、ジッターなど構造上線が歪んだりというのも起きづらく非常に使いやすいものとなっています。弱点としては、パネル周辺が大型化しやすい、パネル側の方にペン用専用の構造が必要、磁力の影響を受ける、などがあります。
WacomONE互換ペンが使える端末(シリーズ)
WacomONE
ワコムのペンタブレットです。Pro Penが採用されているワコムの上位シリーズと比べると、入門用/廉価版と見れる位置づけですがPro Penに比べてもそん色ないレベルでお絵描き等が可能です。近年ではワコム社以外の廉価な液晶ペンタブレット端末なども増えていて、ことさらWacomONEを導入するメリットというのは少ないのですが、WacomONE互換ペンの供給的という意味でも続いて欲しいシリーズです。
Wacom Movink
ワコムの有機El液晶採用の液晶ペンタブレットです。
ちょっと異色なのですが、これに関しては例外的に「PropenとWacomONE互換ペンの2パターンのペンに対応している端末」という感じになります。プロペンの方がペンとしての細かいスペックは上なのですが、「人によっては気にならないレベル」なので、持ち出しできる端末という事もあり、入手しやすい/利用しやすいWacomONE互換ペンが使えるのはメリットになると思います。
値段を見ると決して安いものではないですが、「プロペンが使えて、有機ELなので画質が非常にきれいで、薄型軽量の液晶ペンタブレット」とスペックは非常に高く、魅力的です。
Galaxyシリーズ
ペン入力ができるメモ帳/スケジュール帳代わりにできるスマートフォン、といったポジションは業界唯一のものでしょうか。大型タイプのGalaxy noteシリーズや、近年では折りたたみできる「GalaxyFold」シリーズも好調です。Galaxyシリーズで採用されている「Sペン」はWacomONE互換ペンなので、お互いに互換性があります。スマフォの無線リモコン(シャッター)操作機能など、一部専用の機能に関しては互換ペンでは利用できません。
GalaxyFoldに関しては、折り畳み機能・画面の保護の観点から、Sペンや互換ペンではなく「GalaxyFold専用Sペン」を使うことが推奨されています。
Galaxyタブレット
日本では影が薄いですが、Ipad Proシリーズと肩を並べるハイエンドタブレットシリーズです。Androidタブレットなのでクリスタ(clip studio paint)が利用でき、有機ELの画面は非常にきれいで目が疲れにくく、メモリなどのスペックも高いので作画メイン端末としても十分に利用できます。パソコンと組み合わせる必要のある液晶ペンタブレット端末と比べると「単体で利用できる」のは大きなメリットです。
S7シリーズまでは国内正規販売されておらず「知る人ぞ知る端末」という感じでしたが、GalaxyS8シリーズからは国内販売もされているので利用しやすくなっています。FE(FanEdition)に関しては廉価モデルの位置づけで有機ELではなく液晶が採用されています。
付属のSペンはWacomONE互換ペンですが、お絵描き用として長時間使うのであればほかのペンの方が描きやすいことも多いので検討の余地ありです。
Eink(電子ペーパー)タブレット
BOOX Novaシリーズ(BooxPen)、QUADERNO、Kindle ScribeなどのEインク(電子ペーパー)タブレットのペンもWacom互換ペンが利用可能です。電子ペーパー端末などでは付属ペンの単体販売がされていない場合も多いので、紛失時や予備のペンとしてWacom互換ペンが利用可能です。
BOOX Novaシリーズではandroidアプリも動作可能ですが、電子ペーパーでの描きものは専用ソフトでは問題ないものの、クリスタ等他のソフトでのお絵描きは追従性やスペックの問題で難しいようです。
その他のタブレット端末
ClomebookやGalaxy bookなど一部の端末でWacom互換ペンが利用できるものがあるようです。近年ではUSI タッチペン搭載のものが増えていますが、こちらはWacom互換ペンとは互換性がありません。
Wacom feel IT Technologiesの端末やペンについて
Wacom feel IT Technologiesと名打った、「過去にワコムペンが使える端末」だった端末があります。過去の古い端末ばかりになってしまっていると思いますが、広い意味ではWacomONE互換ペンとも呼べます。ペン先などは反応するのですが、傾き検知など一部機能が対応していなかったり、筆圧の解像度やオン荷重(クリック荷重)の数字など、スペック上の差が出ているものもあります。「Wacom feel IT Technologies採用の端末を現在も愛用していて、互換ペンを入手したい」というケースでは利用価値はあるかと思いますが、古い世代のペンを現在のタブレットで利用するメリットは薄いでしょう。
Wacom 互換ペンが使えない端末
Ipad、Ipadpro
IpadなどのAppleペン端末。ipad/ipadProで使えるAppleペンは描画性も高く、クリスタなども使えるのでお絵描き端末としても優秀です。欠点としてはペンと本体が非常に高価なことがあげられるでしょうか。ペン対応のモデルであればあとからペンを購入しても利用できますが、AppleペンのVarによっても対応機種が違ったりするので購入時には注意が必要です。リセール/再利用価値が高いので、絵描き用で使わなくなっても再利用性が高いのもポイントは高いです。気にならない人は気にならないようですが、ジッター(ゆっくり斜め線を引くと線が歪む)現象は多少ですが発生します。
USI タッチペン(Universal Stylus Initiative)、surfaceペン端末
surfaceシリーズなどのペンが利用できるタブレット端末や、近年出ているタブレットPC用のペン規格USI タッチペンに関してはWacomONE互換ペンとは互換性がありません。わかりやすい見分け方としては電池・充電が必要なペンはWacomONE互換ペンではないことが殆どです。USI タッチペンが採用されている端末ではメーカーが違ってもUSI タッチペンどうしては互換性があるようです。
書き味などは端末にもよりますが、ジッター現象は起きやすいので、メモ用ラフ用としては問題ないものの、お絵かきメイン用としてはおススメしづらいものが多いです。
その他のペンタブレット端末
XpPENなど、近年出てきたペンタブレットですが、ワコムペンとは互換性はありません。性能も年々上がっており、価格も安いので取っ掛かりとしては良いのかもしれません。できれば実機を確認して、値段と構成が問題なければ利用するのも有りかと思います。
ワコムのPro Pen採用端末
ワコムのCintiqシリーズやIntuosシリーズに採用されている「Pro Pen」は同じワコムのEMR技術を用いられていますが、Pro PenはWacomONEの上位ペンとも言えるペンでWacomONEペンとの互換性はありません。現行モデルはWacom Pro Pen 3が採用されていますが、過去のものも同様です。ペン先の形状なども違うので別物だと思った方が良いです。
唯一例外なのがWacom Movinkで、Wacom MovinkだけはWacom MovinkとPropen、両方に対応しています。